お母様のウエディングドレス
ウェディングドレスから、子供ドレスへの作業工程
白い光沢のあるサテンドレス。
切り替えからやや広がりのあるスレンダーに近いAラインで、胸元と裾にお花の刺繍とビーズが施されています。
前身頃は上品な印象に対し、後ろ身頃は大きいコサージュが華やかで、コサージュから下の折り重なっているドレープがエレガントさを演出しています。
トレーンも長く、透け感があり刺繍も美しいです。
ところどころに立体的なお花モチーフの飾りがついており、
それを囲うように刺繍が入っています。まるでお花が咲いているかのようなデザインですね。
早速デザイン画に取り掛かります。
デザイン画のご提案
今回は、お母様のウェディングドレスのコサージュとドレープを存分に生かしたリメイクデザイン案3型を提案させていただきました。【NO.1】
1型のデザインは、サテン地をベースに、お母様のドレープデザインをそのまま生かしたデザインです。
両肩にフリルをあしらい、ウェディングドレス後身頃のコサージュでアクセントをつけています。
【NO.2】
2型のデザインもサテン地がベースです。
ヨーク部分にウェディングドレスのパール刺繍を付け、両肩にチュールレースとサテン生地でフリルをあしらっています。
胸元にはロングリボンでアクセントをつけています。
【NO.3】
3型のデザインは,オーガンジー素材がベースです。
スカート部分にウェディングドレスのトレーンを使用し、コサージュを付けて上品さを出しています。
両肩には同素材のリボンをあしらったデザインです。
デザイン画決定
最終的に選んでいただいたのはNO.1のデザイン案でした。
お母様のウェディングドレスのデザインを、そのまま反映したドレスです。
どんな仕上がりになるのでしょう。完成が楽しみですね。
デザイン画が決まりましたら、パタンナーや縫製、それぞれの職人たちに伝えます。
細部まで行き違いがないように注意します。
ご要望や、こだわり部分は、時に職人とぶつかり合う場面もあります。
妥協は許しません。
早速作業開始です。
まず、ウェディングドレス後身頃のドレープ部分を解体し、裁断しなおします。
こちらはベビードレスの前身頃のデザインとなります。
お母様のドレスでは、後見頃にドレープがありましたが、ベビードレスには前身頃になります。
次にウェディングドレス本体のサテン生地を使用し、フリルを作成します。
フリルはベビードレス両脇から、肩回りに取り入れられるデザインです。フリルの分量は、バランスを見ながら調節していきます。
縫製前にフリルの形が崩れないように、マチ針でとめていきます。
ベビードレスの裾に縫い付ける為のレースをトレーンから切り抜きます。
レースとオーガンジーのギリギリのところを、慎重にはさみを入れていきます。
職人も、より緊張感をもっての作業となります。
ベビードレスの裾に、ウェディングドレスのトレーンから切り抜いたレースを縫い付けていきます。
細かい部分は手作業となります。デザインや着心地の良さを引き出すため、それぞれのパーツに合った縫い方で、正確に縫っていきます。ミリ単位の作業は、まさに職人手技です。
前身頃にもトレーンから切り抜いた刺繍を縫い付けていきます
赤ちゃんの肌に当たる部分はWガーゼを内側に縫い付けます。
見えない箇所にも職人のこだわりを感じますね。
全体的な縫製が出来上がりました。いよいよ最終段階です。
お母様のウェディングドレスのコサージュを、ベビードレス前身頃に配すため、小振りにアレンジしていきます。
こちらは完全な手作業となります。
デザイン画では表現できない部分ですので、職人の感性が問われる瞬間でもあります。
ベビーセレモニードレス完成
アレンジしたコサージュを縫い付けて完成です。
ウェディングドレスBefore After
左写真がお母様のウェディングドレス、右写真がベビーセレモニードレスです。
サテン地をベースにウェディングドレスバックデザインのドレープを再現しました。
後身頃を比較すると、そのまま再現されていることがよくわかります。
両肩のフリルがかわいらしいのに加え、切り替え部分のコサージュがアクセントになり、華やかです。エレガントかつ可愛らしいセレモニードレスが出来上がりました。
お母様のウェディングドレスのデザインをそのまま反映しているので、
“お母様のウェディングドレスをお子様が着た”という印象が残る一品ですね。
お母さんと同じドレスを着ることができたという喜びは、何物にも代えがたい幸せな想い出となるでしょう。
それは、男女共通だと思います。
男の子であれば少し、照れくさそうに、女の子であれば、満足げに、大人になっても色褪せることなく、胸に刻まれることでしょう。
親子の絆が、より一層強まりそうです。
ベビーセレモニードレス